忍者ブログ




一社くらいは
2012.10.30
 来月からアルファポリス様で青春小説大賞が開催されますが、当サイトはどの小説ももうエントリーする予定はありません。今まではエントリーしていましたが、こうも賞のしの字も踏めないようなことが続くと流石に、というのもありますが、選考基準にちょっと疑問を覚えたというのもあります。きちんとしたお話だな、と思う本も出されているのですが、「アイリスの剣」のように、未熟なんじゃないか? と思うような本も出されているので……。今は出版社が多いのと、利益重視なのとでいっぱい出さなきゃ! と考えるのかもなあ、と思いますが、一社くらいは、本当にいい話を出そう! というところがあってもいいと思うんです。
 話がそれましたが、今は好きなペースで自分でも読みたいと思う話を書こう、と思っています。
 
 では以下、ものすごく久し振りな読書状況です。……申し訳ない……。
 


・「雛鳥トートロジィ」柴村仁
 ある晩、仕事を終えて帰ってきた僕を待っていたのは、見ず知らずの女の子。中高校生と思われる彼女が言う。「あの、わたし……も、すみません、上野蔦夫、さんの、子供、なんです……けど」。夢にも思わなかった異母妹の発覚。平凡な僕の日常に、さざ波が立ち始めた……。
 唯一の身内である叔母が突然海外留学へ。「実は、父親が生きているからそこで暫く世話になれ」と言われ、尋ねた先で出会ったのは、腹違いのお兄さん。でも彼は、わたしのことを何も聞いておらず……。(あらすじ引用しました)
 「プシュケの涙」シリーズを書かれた作者の新刊です。「夜宵」みたいにドロドロ満載な話だったらちょっと嫌だなと思いましたが、これは現代小説で、ドロドロもあんまりありませんでした。でも人によってはやっぱりドロドロしてるじゃないかと思う人もいるので、あくまでわたしとしては。
 そこらへんにいそうな、普通で、でもちょっとへたれなところのある若いサラリーマンが、異母妹の存在を知っておたおたとしたり、異母妹の事情を聞いて自己嫌悪に陥ったりします。まあ、最後にはなんとか異母妹だと聞かされた子とそれなりに仲良くなりますけれども。異母妹のほうも、叔母に父の所へ行くように言われた時は、反感や怒りやらで、真っ直ぐ父のところには行かないで、友人の家に世話になって、でもそこにもいられなくなって、結局父のところに行ったら、お兄さんのところだった。最初のうちはお兄さんに対して遠慮があって、それでお兄さんともぎくしゃくして、お兄さんのところも出ることになったけれども――というお話です。リアルにどこかでありそうですね、この話……。
 でもお兄さんも妹の方も、お互いに歩み寄るまでの気持ちの葛藤とか居場所を見つけられた喜びとか、そういう感情がきちんと描かれてあって、そうだよなあ、と共感できます。誰だって居場所が欲しいと思うよなあ。
 最後の場面で、お兄さん、もしかして妹(実の妹ではないかもしれない)を女の子として意識してるんじゃないのかとうふふな想像をしました。邪な読者で申し訳ない。



・「ぼくがぼくであること」山中恒
 夏休みのある日、小学校六年生の秀一が突然家出をした。その波紋は、静かに深く広がって激しく家庭を揺さぶった。家出先で出くわした様々な出来事――轢き逃げ殺人事件の目撃、武田信玄の各氏財宝の秘密、薄幸の少女夏代との出会いなど――がきっかけとなって、教育ママの母親や優等生の兄妹の重圧から秀一は解放される。崩壊寸前だった家族が手探りで歩む再生の道とは。(あらすじ引用しました)
 これは昔に書かれたお話だそうですが、今でも通じるものがすごくたくさんあります。教育ママが自分の子供達に対して自分の思い通りにしようとあれこれやらかしたり、そんな母親に子供達も次第に疑問を持つようになったり、でも幼い末っ子の妹だけは未だに母親の言動が正しくて、その通りにしていればいい子でいられると思っている節があったり。この話の主人公である秀一は、勉強ができないせいで母親にしょっちゅう文句を言われていて、それが嫌になって家出をするんですが、あらすじ通り、家出先であれこれと家族のことを色々考えます。母親が原因で友達もおらず、祖父と一緒に住んでいる夏代にも友達がいないので、そんな彼女に自分を重ねたりもします。
 読んでいて、つくづく子供って良くも悪くも親に影響されるんだなあと思いました。当サイトで書いている「長い夜の果てに」でもそうですが、子供達が自分達の親に疑問を持つようになって、自分なりに考えるようになるならいいですが、そうならず、親の影響を受けたまま育つと、悲惨ですね。
 誰でもそうですが、恋人であったり結婚相手であったり子供であったり他人であったり、どんな相手にせよ、「あなたのためだから」ということで言うことを聞かせようとするのは、自己満足であることが多いので(そうでないこともありますが)、やめといた方がいいよなあ、としみじみ思いました。
 子供でも大人でも楽しめて、考えさせられるお話だと思います。
 


・「ビブリア古書堂の事件手帖~栞子さんと消えない絆~」三上延
 鎌倉の片隅にあるビブリア古書堂は、その佇まいに似合わず様々な客が訪れる。すっかり常連の賑やかなあの人や、困惑するような珍客も。人々は懐かしい本に思いを込める。それらは予期せぬ人と人の絆を表出させることも。美しき女店主はページを捲るように、古書に秘められたその「言葉」を読みとっていく。彼女と無骨な青年店員が、その妙なる絆を目の当たりにした時思うのは? 絆はとても近いところにあるのかも知れない――。これは“古書と絆”の物語。(あらすじ引用しました)
 最初の一話は、いらない疑いがかけられたためにそれを晴らそうと、古本を盗んだ犯人を突き止めようとするお話です。このお話の中で、栞子さんに敵意というか、恐怖というか、苦手意識というか、そういったものを持つ人が出てきて、その人が大輔に栞子の母親についてあることを仄めかします。この辺りではわたしも読んでいて、大輔と同様にひやりとしました。
 二話は、一巻から出ているあの人――ハイテンションで旦那さんが大好きなしのぶさんが出てきます。しのぶさんが栞子と大輔にある本を探して欲しい、という依頼をするんですが、この話では、しのぶさんと両親の意外な関係も明らかになって、おおう、となりました。どういう風におおう、となったのかは、読んでのお楽しみということに。しかし、「ぼくがぼくであること」といい、親子関係って本当に難しいなあと思います。
 三話は、家の中から古本がなくなった――盗まれたので、その本を取り返して欲しい、という依頼が来るお話です。一巻にも出て来ていた、病的なまでに本に執着する人が出てきて、手放したくない本を手元に置きたいがために、家族の遺言ですら無視するような真似をします。この辺りは読んでいて気が重くなりました。わたしも本は好きな方ではありますが、流石にそこまでして欲しいわけじゃない、と思います。多分。そうありたいです。
 最後には栞子が自分の母親に対してある決意をするのですが、その一方で、大輔が栞子の妹がもしかして、ということに気付きます。まだ続くようなので、これからが気になります。
 


・「首の姫と首なし騎士 追跡者たちの罠」睦月けい
 インドア派な末っ子姫シャーロットが、ついに遠出をすることに。腹をくくったのは、次期国王候補と狙いを定めた伯父のウェルズが治める領地を視察し、その資質を見極めるため。見知らぬ領地で、国王選びの難しさに頭を抱えるシャーロットは、背中を押してくれる護衛役、最強騎士アルベルト・ホースマンの存在を強く意識し始める。だが、彼のかつての戦友、最凶騎士“人喰い竜”が場内に浸入して――?(あらすじ引用しました)
 すみませんすみません、もうすぐ次巻が出るというのに、今頃になってやっと感想をばば。
 このお話では、メイという、アルベルトとガイにゆかりのある女性が出てきます。王家にとって敵かもしれないエルマー家の人々も出てきて、相変わらずよからぬことを企んでいるらしい様子もありますが、それにメイも絡んでいるようで、ウェルズの領地に来ていたシャーロットはまんまと彼女(達?)の罠に引っ掛かってしまいます。その際にアルベルトもまさかという目に遭って、後でこの時のことでガイに忠告される場面が印象に残りました。
 シャーロットの兄であるクローヴィス(妹を溺愛している兄馬鹿の方ではないです)も出てきますが、妹を殺しかけたという罪悪感やらもろもろで、ずーっと暗い感じを醸しているのですが、最後の方であれな決意をします。そっちに行ったらあかーん! と読みながら内心で叫んでました。シャーロットやレイフォード(こちらが妹を溺愛してい以下略)が何とかするんじゃないかと思いますが……ううう、どうなるだろうか。
 あ、アルベルトがシャーロットに抱いている気持ちには相変わらず鈍いままですが、シャーロットは結構意識するようになります。これでアルベルトも意識するようになれば、かなり少女小説らしい雰囲気にもにょもにょ。
 次巻は読んだらすぐに感想を上げます。よし、ここで書いたんだからすぐに上げるぜよ。
 


・「魔法使いは完全犯罪の夢を見るか?」東川篤哉
 現代ミステリですが、タイトル通り、魔法使いも出てきます。男性刑事とその上司である女性刑事、そして魔法使いが主な登場人物で、男性刑事視点で話が進められますが、話の最初の部分は、犯人視点で犯行を進める形になっています。なので、最初から犯人は(読者には)分かっていますが、男性刑事と魔法使いがどういう風に犯人の手掛かりを見つけていかに追い詰めるか――という内容になってます。……追い詰め方があれな気はしますけれども。
 しかし、読んでいて女性刑事の残念さが分かって可哀想になって来るのも、男性刑事の抜けてるんだか切れてるんだか分からない感じなのも、この話ぐらいじゃないでしょうか(失礼!)。この絶妙の匙加減をさらっと捌く辺りが作者の腕に窺えるなと思いますが……。
 気を取り直して、続編にもコミカルな雰囲気を壊さないままでお願いしたいです。
 


・「おいしい妖精の愛し方」古戸マチコ
 辺境の島《迷子島》で、海女兼観光ガイドとして働くミリアは、色気より食い気の16歳ある日、ピンク色の不思議な海水を見つけた彼女は、幼馴染の料理人・ライに調理して貰おうと意気揚々と持ち帰るのだが……。その海水で作られた料理を食べた途端、頭の中で「わたしを食べて」と声がして、なぜか島中の男達から求愛され始めて――。正気なのはライ一人? 追い打ちをかけるようにして、ミリアの背中から妖精の羽が生えて? 一体どうなるの?(あらすじ引用しました)
 「やおろず」シリーズを書かれた作者の新刊です。「華鬼」シリーズなどで活躍されている梨沙さんと同様に、この方もあちらこちらで活躍されているようです。
 さておき、内容ですが、「やおろず」と同様にコミカルなものだろうと期待していたら……そんな甘いものじゃなかった……。いや、コミカル要素もあるにはあるのですが、どちらかというとシリアス要素の方が多かったです。読みながら泣けてきそうになったところもありましたよ、マジで。
 ミリアがピンク色の海水をライに料理して貰って、それを食べてからの変化もそうですが、何よりミリアとライの関係や意識の変化がすごくリアルで、特に周囲のライに対する態度がもうね、そこまで追い詰めなくてもええじゃろ、というものでして。そんななので、ライも頑固にならざるを得なくて、そのせいでライに対する気持ちに気付いたミリアがその気持ちを打ち明けた時も、ライは拒否してしまうという。この辺りが一番せつなかったな……。
 色々ありますが、最後にはちゃんと納得のいくめでたしめでたしで終わっていたのでよかったです。
 またこの方の本が出たら買いたいです。

拍手

PR
 back   home   next 
  
  

   admin/write
カレンダー
06 2017/07 08
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31
フリーエリア
最新コメント
最新トラックバック
プロフィール
HN:
小月 静夜
性別:
非公開
趣味:
読書、物書き、落書き、猫と戯れること
自己紹介:
オリジナル小説サイト「小鳥は森に歌う」の管理人。
バーコード
ブログ内検索
P R

Template by hx
忍者ブログ [PR]