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 気がつけば今年ももう終わろうとしていますね。いつの間に。恐ろしい……。
 最近はとても寒い日々が続いています。昨日と今日なぞ、ここは南国だというのに、10度を下回る気温になっていました(最高気温は9度でした)。寒波が来たと天気予報では言っていましたがね……。やっぱり寒いのは嫌だなあと噛み締めました。
 では以下、たぶん今年最後の読書状況です。



・「うた恋い。4」杉田圭
 「うた恋い。」シリーズの四巻が出ましたよ! やっほー! この調子で百人一首を制覇して頂けないでしょうか……(切実)。
 この四巻では、小野篁《おのの・たかむら》とその異母妹である小野比右子《ひうこ》の恋と、紀貫之《きのつらぬき》の恋と、壬生忠岑《みぶの・ただみね》と藤原満子《ふじわらの・みつこ》の恋と、菅原道真《すがわらのみちざね》の話が収められています。
 篁と比右子の話で意外だったのが、この時代では、たとえ同じ父親を持っていて血の繋がりがあったとしても、母親が違うと、別々の家で育てられるため、異母兄妹同士の恋はタブー視されていなかったということです。現代では考えられないことですが、当時、権力を誇っていた藤原氏も、自分の娘を帝の許に嫁がせるなどしていましたし、この本に出てくる満子の父親も「なに、近親の結婚などよくあることだ」と言っていますからね。うーん、ちょっとうすら寒い時代だわあ……。
 感想の方行きましょう。印象に残ったのはやっぱり、篁と比右子の話ですね。異母兄妹であっても、兄妹同士で恋愛をするのは現代では考えられないことですが、当時は許容されていたからこそ、篁の「わたの原 八十島かけて 漕ぎ出でぬと 人には告げよ あまのつりぶね」という和歌も生まれたのでしょうし、この四巻で、篁が、涙を堪えて出て行こうとする比右子の肩をガッと掴んで引き留める場面もなかったでしょう。以前にも書きましたけれども、あの場面が一番グッときたよ……!
 他の人達の話も、それぞれ、当時の背景や政治的事情やらが分かり易く描かれています。特に満子の、入内が決まったということを父親から聞かされた時の、あの表情がもうね……。入内相手が、既に後宮に入った満子の姉が産んだ息子――東宮だというんですから、無理もないです(満子にとっては甥にあたります)。母親が「それでは満子が哀れです」と口を挟んだのがちょっと救いでしょうか。満子の母親が、本当にそう言ってくれたらいいなあと願うばかりです。
 ただ、個人的には、四コマにそっと登場していた、凡河内躬恒《おおしこうちのみつね》のキャラがツボでした。あの人の話がいつか出てくれないだろうかと密かに強く希望してます。
 メディアファクトリーさん、是非続刊をお願いします! いつまでも首を長くして待ちますので!



・「マリアビートル」伊坂幸太郎
 幼い息子の仇打ちを企てる、酒びたりの元殺し屋「木村」。優等生面の裏に悪魔のような心を隠し持つ中学生「王子」。闇社会の大物から密命を受けた、腕利きの二人組「蜜柑《みかん》」と「檸檬《れもん》」。とにかく運が悪く、気弱な殺し屋「天道虫」。疾走する東北新幹線の車内で、狙う者と狙われる者が交錯する――。(あらすじ引用しました)
 今回で一番薦めたいのはこれです。マリアビートル! 伊坂氏の新刊ですが、文庫でも分厚いので、ちょっと読んでみようという気になるまでちょっと時間がかかりましたが、いざ読み始めてみると、先が気になって気になってページを捲る手が止まらなかったです。仕事の合間に休憩などに読んでいたんですが、休憩が終わっても「もうちょっと読ませて……!」と思ったくらいですからね。
 あまぞんのレビューにもありましたが、この話の中に出てくる中学生の王子(あだなとかではなくて、本当に名字が王子といいます)が、本当に鬼です……。なんでそんなひどいことばっかり考えたりやらかしたりするんだっていう。そのくせ、周囲の大人相手にはうまく立ち回るというね。こういう子供がいたら絶対近付きたくないです。「ASC」の透だったら物凄く嫌悪感を抱くだろうなあ。あと徹なんかも、笑いながら「壊そう思うけど、ええか?」とか言いそうです。まあ、最後には伊坂氏の作品に共通している勧善懲悪の要素がこの話の中にもちゃんとあって、然るべき仕打ちを受ける羽目になるので、その点ではちょっとほっとしましたが、それに至るまでの王子の言動がやっぱりもう……。そこに至るまで、まだかまだかとやきもきしました。
 個人的には蜜柑と檸檬のコンビと、運がないと自負している天道虫――七尾が好きでした。いや、仕事はあんまり大きな声では言えないようなことをやってるんですけどね。この三人は憎めないキャラというか、魅力的というか。檸檬はトーマス機関車が大好きで、トーマス機関車に出てくるキャラの性格と特技とそれぞれの説明文を暗記していて、ところどころにそれを見せびらかす場面があります。一方、檸檬の相棒である蜜柑は、文学好きで、こちらは読んだ本の中に出てくる文章を引用して相方を窘める場面があちこちに。天道虫である七尾は、自分の引き受けた仕事が、果物コンビの仕事を邪魔するものだと知り、果物コンビと敵対する羽目になるんですが、なんとかそれらの危機をくぐり抜けようと色々足掻きます。なので、後半になって果物コンビがあんなことになっちゃうとは予想だにできませんでした。そんな……!
 最後には木村の親が二人とも出てくるんですが、この父親の方が七尾に話しかける言葉があります。
「お兄ちゃん、あんたはまた、びっくりするくらい匂いがしないな。悪意のくささがほとんどない。さっきの銃の出し方を見ても、俺たちと似た仕事をしているだろうに、どういうわけだ。仕事を始めたばかりってわけでもないだろう(本文から引用しました)」
 わたしとしてはこの言葉がやけに印象に残りました。たぶん、透や徹も、同じように悪意を持つ人間とそうでない人間を見分けているからかもしれません。悪いことをする人がいたとしても、必ずしもその人に悪意があるとは限りませんからね。褒められたことではないのは変わりないですが。
 「ゴールデンスボンバー」のように、どこか、ドラマか、映画にしてくれないでしょうか。長い話なので、映画にするには無理そうなので、ドラマを希望します。是非……!



・「首の姫と首なし騎士 奪われし花嫁」睦月けい
 兄王子レイフォードを場外に逃がし、辛くも命を救ったシャーロット姫。豪商エルマー家の悪事を暴くため証拠探しに奔走する次兄クローヴィスと〝人喰い竜〟ガイの帰還に望みを託すが、敵の包囲網に打つ手なし。セシルとの結婚を決定づける評議会に臨むシャーロットだが、護衛騎士アルベルトが乱入。現国王に刃を向け、結婚への異議を申し立てる騎士だが――。「花嫁」の手を取るのは誰か? (あらすじ引用しました)
 この巻でいよいよというか、やっとというか、エルマー家との決着がつきます。
 わたしとしては、クローヴィスの意外な才能と活躍が印象に残りました。ガイと一緒に行動することになった彼ですが、エルマー家が薬作りとして利用している拠点を暴くために向かったところで、意外な才能を発揮します。その才能を見たガイが「誰だ、こいつを足手纏いと言った奴」と言ったのには同感でした。無駄に捻くれてたわけじゃなかったんだね、お兄ちゃん!
 こほん。えーと、エルマー家との決着ですが、納得できる終わり方でした。ただ、許嫁であったセシルは、それまでにもエルマー家に知られないよう、それとなくシャーロットに助言や手助けをしていたので、なんとか助からないかと思っていたのですが、彼も一族だからと、処罰を免れることはできませんでした。ううん……権力者もちょっと辛いなあと思いました。
 ただ、作者にはちょっと申し訳ないですが、ここまでくるのにちょっと長かったんじゃないかなあ、とも思います。丁寧に描かれるのがこの作者の特徴であり、性格というか、サガというか、味なのだとは思うんですが、あんまり長すぎると「いつまでに終わるのかな?」となってしまうので。もうちょっと早く終わってもよかったんじゃないかなと思います。実際、6、7巻あたりでは、息苦しい雰囲気ばかりがあって、読んでいてちょっとイラッとしましたからね……。
 次からまた新しい展開になるそうですが、今度はもうちょっとコンパクトにお願いしたいです。



・「歴史が語る 恋の嵐」中野京子
 女性初のノーベル賞受賞者、マリー・キュリーが18歳の時に落ちた許されない恋。夫と子を捨て、27歳でワーグナーに走ったコージマのその後。愛人300人と言われたエカテリーナ2世が、45歳にして初めて出会った真実の恋。66歳のマルグリッド・デュラスを復活させた、27歳の青年の献身的愛。古今東西、歴史に名を残す女性達が織り成す、様々な恋の形。圧倒され、やがて切なさが胸に迫る歴史エッセイ。(あらすじ引用しました)
 これは女の人だったら楽しめるんじゃないかと思います。男の人でも興味を持たれる方はいらっしゃるかも知れませんが、浮気をする男の人の話も出てくるので、やっぱり二の足を踏んでしまうんじゃないかと思われますので。
 この本には、24人の女の人の恋の話がのっています。歴史的に有名な人もいれば、読むまで知らなかった人もいます。その中でとりわけ印象に残ったのは、アガサ・クリスティと、エリザベス1世の話です。
 アガサ・クリスティは、岡田准さんが出演されている「ザ・プロファイラー」でも取り上げられたことがあるので、その時に出ていた失踪事件もこの話に出ています。アガサの前夫であるクリスティ大佐は、アガサと結婚して子供をもうけたにもかかわらず、愛人をつくって家を出ていきます(ひどい!)。その時にアガサは失踪するんですが、その失踪事件の真相は闇の中に葬られてしまいます。その時にマスコミがアガサによってたかったので、アガサは一層のマスコミ嫌いになり、自伝でも失踪事件についてはかたく口を噤んでいるそうです。クリスティ大佐の方は、すぐに幸せな再婚生活を始めたといいますから、アガサとしては確かにやりきれなかったでしょうね……。クリスティ大佐は女の敵に違いない! ただ、悪いことばっかりでもないです。アガサが旅行に行ったバグダッドで、彼女はのちに二人目の旦那となる、考古学者であるマローワンに出会い、結婚します。今度の結婚は、年の差はあるものの、旦那が誠実でひたむきな人だったのもあって、幸せなものになったとあります。よかった……!
 もうひとり、エリザベス1世の方は、こちらは幸せな結婚生活というわけにもいかなかったようです。彼女は一生結婚しなかったそうですが、それは彼女に妊娠能力がなかったからだと、本文で説明されています。また、あまり綺麗な人でもなかったようで、あんまりだと思う証言が幾つも出てきます。本当のことかもしれないとはいえ、そんなにいっぱい言っちゃうのはどうだろう……。恋はどうだったかというと、55歳の時に、33歳も年下のエセックス伯ロバート・デヴルーに恋をした、とあります。ただこのエセックス伯、とんでもない自惚れ屋で野心満々な性格だったようで、最初はエリザベスに甘い言葉をいくつも囁きますが、そのうちに傲慢ぶりを露にして来て、最終的にはエリザベスも庇いようのないミスを犯してしまいます。エリザベスはすっかり嫌気が差してきていたので、しばらく彼を遠ざけたいと、宮廷へ来ることを差し止めますが、エセックス伯はよりによってという愚を犯します。エリザベスが最も嫌なこと――彼女の醜い要望を嘲るという行動に出てしまいます。これがエリザベスの逆鱗に触れてしまい、エセックス伯の首を跳ねる命令書へ躊躇いなくサインします。
 恋はいいものもあるけれども、災厄になってしまうものもあるんだなあ、としみじみします。



・「中野京子と読み解く名画の謎 陰謀の歴史編」中野京子
 これは先程に挙げた「恋の嵐」と同じ作者が書かれた新刊です。「怖い絵」シリーズで有名なので、シリーズを買われた方は間違いなく買われているんじゃないでしょうか(わたしもそうなので)。
 うーん……「怖い絵」シリーズで、散々うすら寒い絵や怖い絵ばかりを見てきたからか、今回はちょっとインパクトが薄かったです。わたしが慣れちゃったからというのもあるかもしれませんが。とはいえ、印象に残った絵がなかったわけではないので、そのいくつかを。
 表紙にも使われている絵『ロンドン塔の王子たち』(ポール・ドラローシュ)。この絵を取り上げた話では、リチャード3世が出てきます。このリチャード3世は、シェイクスペアの作品でご存知の方もいらっしゃるかも。シェイクスペアの作品で、リチャード3世は悪者だけれども魅力的な人物として描かれていますが、実際は悪者とはかけ離れた、知的で寛容な人物で、善政を敷いていて国民の人気が高かったことが判明されたことが説明されています。しかしそれでもシェイクスペアの生んだリチャード3世(つまり悪人であるほう)を信じる人々が多いようで、ちょっとどうかなあと思いました……。
 もうひとつは、『カール5世騎馬像』(ティツィアーノ・ヴェチェッリオ)。この絵を取り上げられた話では、当時、戦争に使われた甲冑に触れられますが、この甲冑をファッションとして、またはコレクションとして手元に置いていた貴族が多かった――という説明がなされます。ただ、実際には、お手入れは大変だったようで、いざ戦争となると、トイレに行く余裕なんてないので、そのまま甲冑の中で……(失礼)。で、お偉い人がつけていたその甲冑を、従者が綺麗にするんですが、水は貴重なので使われることはあんまりなかったそうです。うわあ、なんて時代。非衛生すぎるというインパクトが強かったので印象に残りました。
 他にも色々な絵が取り上げられているので、絵の時代背景などが知りたいという方にはおすすめかと。

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