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 今日は、昨日は紹介できなかったのと、時間があるので二冊紹介します。まずはこちら。



・「妖奇庵夜話 魔女の鳥籠」榎田ユウリ
 都内に佇む茶室、妖奇庵。美貌の主・洗足伊織はヒトとは僅かに違うDNAを持つ妖人であり、ある特別な能力を持っている。一方、警視庁妖人対策本部(Y対)の刑事・脇坂は、不可思議な事件を耳にした。聞き慣れない妖人属性を自称するふたりの女性が、同日、同じマンションで自殺を図ったというのだ。その裏に潜んでいたのは、母と娘の複雑な愛情と憎しみであり…。本当に怖いのは、人か、妖か。(あらすじ引用しました)
 これも「猫除け」「蔵盗み」と同様、黄金週間に福岡に行ったときに読んだものです。
 この作者さんを知ったのはこのシリーズがきっかけでした。このひとの文章はとても読みやすいんですが、ただちょっと暴力的・流血の場面があるので、そこはちょっと好みが分かれるかも知れません。わたしはそういうところは軽く読み流すようにしてます。想像力がけっこうあるときついんですよ…。
 この話はというと、このシリーズは、一巻はダイエット、二巻は子供、三巻は永遠の若さというふうに(うろ覚えなのでちょっとずれているものもあるかもしれません)、テーマにしている要素があるんですが、この四巻は母と子がテーマになっています。子供にとって母親は絶対的な存在だ、と、けっこういろんな本で書かれているんですが、この本の中でも、母親という存在がしがらみだったりとらわれたりする人たちが描かれます。その中に、伊織に執着する人物・青目も含まれるということがこの話で知れます。
 青目は伊織の異母弟なんですが、母親が違うとこうも毛色の違う兄弟になってしまうものかと、何度読んでも思ってしまいますね。いや、同じ母親の子供でも、だいぶ毛色の違う兄弟はいますが。青目の母親は母親としての役目を果たすことのできない、まだ成熟していなかった大人というか、母親にならないほうがいい人だったのだなあと思います。というのも、この話の合間には、まだ幼い伊織が「おっかさん」と呼んで慕う彼の母親がまだ生きていたころの話もおさめられていて、その中に、青目が母親からどんな扱いを受けていたのかも書かれているんですね。あれはいやだ…。
 あのときにもうちょっとどうにかなっていれば、青目が伊織に執着するあまりに様々な事件を引き起こさせることもなかったのかなあと思います。でもそれだとこのシリーズも生まれなかったわけで…うううむ。
 ただ、この話の終わりのほうで、ついに青目は超えてはいけない一線を越えてしまいます。そしてそれゆえに、伊織もとうとう青目と決着をつけるために考え始めます。
 そろそろ終わりそうな気配ですが、いったいどんな終わりが待っているんだろうと気になります。



・「神様のカルテ 0」夏川草介
 栗原一止は、信州にある24時間365日営業の本庄病院で働く内科医です。本作では、医師国家試験直前の一止とその仲間たちの友情、本庄病院の内科部長・板垣(大狸)先生と敵対する事務長・金山弁二の不思議な交流、研修医となり本庄病院で働くことになった一止の医師としての葛藤と、山岳写真家である一止の妻・榛名の信念が描かれます。(紹介文を引用しました)
 「神様のカルテ」シリーズの新刊です。このシリーズは、どの巻でもいえるんですが、お医者さん本人が書かれているので、お医者さんの世界がちょっとだけですけど、垣間見ることができます。その大変さと難しさも。このシリーズを読むたびに、お医者さんには本当に頭が上がらないと、頭を下げたくなります。
 最初の話は、国家試験の難しさは誰でも知っていると思いますが、それゆえにプレッシャーにさらされるお医者さんの卵のひとたちの一面が書かれます。まだ若いあの人やその人などの意外な一面だったり、思わぬ深い一面だったりもしますが、お医者さんだって人間ですからね。恋や失敗に怯えるのもあたりまえですが、しかし、国家試験のプレッシャーはんぱねえ…と思いました(ゴクリ)。わたしの一番上の姉も看護師なんですが、あのプレッシャーと戦っていたってすごいなと改めて思います。すごいよお姉様。
 研修医として本庄病院で働くことになった一止の若いころの話もあります。ある事情で治療にこなくなった患者さんとの交流が書かれるんですが、お医者さんにもそれぞれの性格や事情があるように、患者さんにもそれぞれの事情があるんだなとかみしめた話です。患者さんの意思を尊重するべきか、それとも命を尊重するべきかという選択はいつでもお医者さんに突きつけられる究極のものだとも思いました。ここでもお医者さんのプレッシャーがすげえ。
 最後には、一止の奥さんである榛名が、一止と結婚する前の話がおさめられています。とはいっても、彼女視点で進められるわけではなく、ある事情で登山した人のまさかな事態になったところから話が始まります。この話はお医者さんだけでなく、登山のあれこれの事情も思わせますね。いざというときにどうするべきか、またそのときに備えていることはあるかとか。あきらめてしまいそうになることもあるけれども、結局、人は人に助けられて生きる生き物だなあとしみじみします。最後にちょっとだけ、榛名が語る場面があるんですが、これがほほえましくてよかった。彼女の性格のよさがにじんでいますな。
 もうひとつ、事務長と大狸先生の意外な過去話もあって、事務長にも事務長なりの過去や考えがあるんだなと見直しました。でもやっぱり、大狸先生も独白しているように、もうちょっと言い方に気をつけるようになれば、誤解されることも少なくなると思うんです、事務長。
 このシリーズはまだ続きが出るのか、それともこれで終わりなのかはわかりませんけれども、一止さんとその周りの人たちは実に愉快ですので、また何かの機会にお目にかかりたいなと思います。

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