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人はどこまで
2016.08.08
昨日、リクエスト小説「ある陶芸家の副業」三話をあっぷしました。呪いがかけられたものの始末については、お払いなどが一般的ですが、あるものに食べさせるというのがぽんと頭に浮かんできたので、ああなりました。乱暴すぎないかとか、色んな意見が来そうですが、カルシファーみたいに意思のある火のことも書いてみたかったのです。
ちなみに、ヘンリー8世については、中野京子さんの「怖い絵」(朝日出版社)を参考にしています。わたしの感じたところでは、ヘンリー8世は、暴力を振るうのにためらわなかっただろうこともそうなんですが、野心家でありながら、気分屋でもあったのかなあというところです。
 あと一話くらいで終わるかな? そしたらその後は「お菓子の家へようこそ」と「国士無双」に戻って、たまに何かおりてきたら短編を書くと思います。のんびりよろしくお願い致します。

 以下、先日にもちょこっと書きました読書状況です。後日と言いながら…



・「筆跡鑑定人・東雲清一郎は、書を書かない。」谷春慶《たに・はるよし》
 祖父が残した謎を解き明かすべく、美咲は大学一の有名人、東雲清一郎《しののめ・せいいちろう》を訪ねるが、噂に違わぬ変人で……。著名な書道家なのに文字を書かず、端整な顔立ちから放たれるのはシビアな毒舌。くじけそうになるも、どうにか清一郎を説得する。鑑定に持ち込むが――「気持ちに嘘はつけても、文字は偽れない。本当にいいんだな?」。鎌倉を舞台に巻き起る文字と書、人の思いにまつわる四つの事件を描く、連作短編ミステリー。(あらすじ引用しました)
 行きつけの本屋さんで例の如く、何かないかな~とぶらぶらしていたら、新刊コーナーにこの二巻目である「鎌倉の猫は手紙を運ぶ」が、表紙が見えるように棚に置かれていたので、この一巻目はないかな? と、別の本屋さんで買いました(行きつけの本屋さんでも探したのですが、なかった…二巻を置くなら一巻も置いてほしい…)。
 まあそんな出会いのいきさつはさておき、読み易くしっかりとした文章です。確かに清一郎君、あらすじにもある通り、美人さんなのに変人です。本編を読めば分かると思いますが、大学に入って早速、男女どちらにもろくでもない人に絡まれたんじゃ、捻くれるのも無理もないかな…。
 この男女どちらにもろくでもない人に絡まれたお話はどちらもこの中におさめられています。一話目は美咲の祖父の遺物の中から、祖母以外の相手にしたためられたラブレターが出てきたため、祖父がどういうつもりで祖母以外の相手に書いたのか、その手伝いを清一郎君にお願いした話です。で、二話目が、清一郎君が大学に入って早速絡まれた、ろくでもない男の人の先輩との話です。正確には、このろくでもない男の人の先輩が、清一郎君に断りもなく最低なことをやっちまって、後になって美咲の友人も巻き込まれたため、それを知った美咲と清一郎君がどういうことかと、究明しようとします。それにしてもほんっと、このろくでもない先輩、最低だわあ…。三話目は、清一郎君の筆跡鑑定の実力を知る人からの依頼で、ある人の作品を見てほしいという話で、最後の四話目が、清一郎君が絡まれたろくでもない女の人が出てくる話になっています。この話では、女の人にとっては絶対巻き込まれたくない事件が起こります。美咲ちゃんん!
 すっげえ嫌だったのがこの四話目でした…。この話では、今現代で一番人々の生活に浸透しているSNSが出てきます。犯人はそれを巧みに使うことで美咲を追い詰めるんですが、いかに変人といえども、清一郎君もさすがにただで見過ごすわけにはいかなかった。美咲の背中に貼られた悪質な落書きの文字から、犯人を特定していきます(他にも推理要素はありますが)。たぶん予想はつくと思うんですが、この犯人が、清一郎君に告白してこっぴどくふられたっていう女の子でした。御両親よ…随分と甘やかしたものだなあ、と、わたしもつい清一郎君みたいに毒を吐いたのはここだけの話です。
 ただ、ちょっとシリアスな話ですが、美咲を始め、キャラが明るめなので、そこまで重くはなっていないです。ライトノベルはちょっと、でも気軽に読める話が読みたいという方にはおすすめです。



・「筆跡鑑定人・東雲清一郎は、書を書かない。 鎌倉の猫は手紙を運ぶ」谷春慶
 大学一の有名人かつアンタッチャブルな存在――東雲清一郎。美咲は祖父の手紙の鑑定を通して彼と親しくなるが、清一郎の毒舌は相変わらずで……。黒猫を介した文通相手の秘密、鎌倉の町に描かれた奇妙なマークの謎、東雲の書に対する葛藤、そして、美咲の決意――。(あらすじ引用しました)
 上に紹介したものの二巻目です。これは一巻を買った本屋でお揃いで買おうと思ったんですが、これまたなぜか置いておらず、仕方なく行きつけの本屋に戻って買ったという…。本当に一体、どういう基準で本を仕入れていらっしゃるんだろう?
 まあそんなぼやきはさておいて、二巻目は、清一郎君の家族や、その家族との関係などがちょっとだけ明らかになります。清一郎君の従妹や、彼の母親の遺作など。特に母親の遺作が出てくる三話では、タイトルが「清一郎、壊れる。」とある通り、清一郎がスランプと苦悩のあまりにぶっとんじゃう場面が出てきます。ただ、清一郎君は、母親との関係が最後はすれ違ったというか、うまくいかなかったというか、後悔が残っちゃう形で終わったことも明らかになるので、彼のあの捻くれた性格はその影響もあるのかなとか、いろいろ思いました。
 個人的には、二話目のバッテンマークの謎を探る話が印象に残りました。当たり前ですが、日本と外国では文化や考え方も違っていて、バッテンマークにこめられた意味も、外国では悪い意味とは限らないというようなことがあります。ただ、ひとつだけ、美咲の友人のアルバイト先である店のメニューに描かれていたバッテンマークは、美咲の友人と同様にアルバイトに入っていた子の悪戯――というより、わざとつけていたものだということも分かるのですが、それはやっていいことじゃないだろ、と思ってしまいました。恋愛に対しては色んな考えを持つ人がいらっしゃると思うんですが、少なくともわたしは、「潔い人」にもある通り、結婚している人との恋愛はいけないと思っています。まあ、この話では、単なる片思いで終わっているようなので、目をつむるみたいな…でもいいのかな…と、ちょっと、あんまりすっきりはしなかったです。
 最後の四話目では、はっきり言いましょう、悪い人が出てきます。この悪い人がほとんど無知と言ってもいい、でもお金は持っているお客さんに対して、偽物を売りつけようとするのを清一郎君が止める形になっちゃうので、最後の方で、この悪い人が清一郎君に脅迫に近い形でお願いする場面が出てきます。「ASC」の透だったらあらかじめ録音するとかして正当防衛を図るだろうな。
 ただ、一巻目にも出てきた、清一郎君にろくなことをしなかった部長が二巻目でも出ているんですよね…。このひと、あんまり好きになれんわ。清一郎君が所属している書道部の部長という設定にしているから、仕方ないのかな?
 でも美咲と清一郎君の関係も、ちょっとずつ変わっているようなので、続きがあればそれを楽しみにしたいです。



・「ロシア幽霊軍艦事件 名探偵御手洗潔《みたらい・きよし》」島田荘司
 箱根、富士屋ホテルに飾られていた一枚の写真。そこには1919年夏に突如芦ノ湖に現れた帝政ロシアの軍艦が写っていた。四方を山に囲まれた軍艦はしかし、一夜にして姿を消す。巨大軍艦はいかにして〝密室〟から脱したのか。その消失の裏にはロマノフ王朝最後の皇女・アナスタシアと日本を巡る壮大な謎が隠されていた――。御手洗潔が解き明かす、時空を超えた世紀ミステリー。(あらすじ引用しました)
 これも「筆跡鑑定人~」と同様に、新刊コーナーで、表紙が見えるように棚にあったのが目にとまりました。ただ初めての作家さんなのと、どうせなら面白いものを読みたいと、後であまぞんで見てみたら、星五つのレビューがほとんどだったので、後日に即買いました。
 買った後で知ったのですが、御手洗潔シリーズの一巻のようです。これはあまぞんのレビューにあった通り、読み応えがありました。しかもロマノフ王朝。「怖い絵」シリーズなどで世界の歴史にも興味があるので、面白くないわけがない。
 ただ、アナスタシアが生きていた時代を御存知の方なら分かると思うんですが、あんまりいい時代とはいえません。むしろ、戦争が多発して、人の醜さが露出した時代というか…実際、この話の中に出てくるアナスタシアも、どうにか命拾いした後も酷い目にあったという告白をしています。中には衝撃的なことも含まれているので、あまり免疫のない方は避けた方がよろしいやも。
 とはいえ、作者はこの話を通して、自分なりの推理をアナスタシアの謎に投げかけています。話の中に出てくるので詳しくは触れませんが、わたしも読んでいて、確かにその分野からの検討はなかった…と頭が下がりました。しかしどちらかというと、アナスタシアをそこまで追い詰めた当時のポルシェヴィキを含む人々の残酷さに、いったい人はどこまで残酷になれるのだろう、と気分が沈みました。わたしも平凡な人間ではあるけれども、自分がされて嫌なことはしないようにしたいです。
 ちょっと思ったんですが、作者はあとがきで「最近、ロマノフ王朝に興味がある」とおっしゃっていまして、それなら「怖い絵」シリーズなどを手掛けていらっしゃる中野京子さんとお話ししてみたらどうかなあと。NHKの達人達のスイッチインタビューみたいな感じで。わたしが見てみたいだけですけれども(ぼそ)。
 この現代日本版シャーロック・ホームズ(だとわたしは思いました)御手洗シリーズ、これからちょこっとずつ集めて読んでいこうと思います。でも財布と相談しよう。

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