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 暑くなってきたと思ったら、ちょっと肌寒いくらいの天気になりました。天気も生きてるんだなあと思います。でも衣替えしかけたところに逆戻りするのだけはやめて欲しい……。
 最近読んだものも含めて読書状況いきます(敬称略)。



・「青い星まで飛んでいけ」小川一水
 それは人間の普遍的な願い――彗星都市での生活に閉塞感を抱く少女と、緩衝林を守る不思議な少年の交流を描く「都市彗星(バラマンデイ)のサエ」から、〝祈りの力で育つ〟という触れ込みで流行した謎の植物をめぐる、彼と彼女のひと冬の物語「グラスハートが割れないように」、人類から〝未知の探求〟という使命を与えられたAI宇宙船エクスの遥かな旅路を追う表題作まで、様々な時代における未知なるものとの出逢いを綴った全6篇を収録。(あらすじ引用しました)
 これは行きつけの書店でたまたま新刊コーナーにあったのを見て、手に取ってみたものです。帯にはやぶさの名前があったのも惹かれた理由です。結果はビンゴでした。
 あらすじ通り、どの話も未知をテーマにしたもので、興味をそそられながら読みました。ただ、中にはウフフな表現がある話もあるので、できれば18歳以上が好ましいかと……。
 わたしの一番のお気に入りは最初の話である「都市彗星のサエ」で、ボーイ・ミーツ・ガールといった内容です。誰でも覚えがあると思うのですけど、この話の主人公である少女・サエは変化を求めてたまに冒険をやらかします。ある冒険をしたら、今まで足の踏み入れることのなかった場所へ入り込み、そこでサエは自分より強い変化を求める少年に出会います。彼らは次第に打ち解けて、同じ目的を共有するようになりますが、その目的は彼らの住むところでは許されないことで、達成は困難です。二人はあと一歩のところで引き離されますが、成長したサエがかつて会った少年がテレビに出てあることを言うのを聞いて、再度挑戦することを決意します。
 他の話も、サエの話と同様に、何らかの障害を自分なりに足掻いて乗り越えようとするもので、共感できました。宇宙船であるエクスが人間らしい感情を持って行動するところなんかも可愛くて、こういう宇宙船ができたらいいなあ、と思ったり。
 宇宙や未知などの要素がお好きであればお勧めです。



・「信玄の軍配者」富樫倫太郎
 「早曇の軍配者」の続編にあたる話です。これは新刊コーナーにあったのを見て、「早曇~」と一緒に買ったのですが、読もうと思い立つのが遅くて、中々読めませんでしたが、読み始めたら一気に読んでしまいました。それくらい読み応えがあって、面白かったです。人気になるのも納得です。
 日本最古の大学・足利学校で学問を修めた勘助は、その後、駿河国で囚われの身となったまま齢四十を超え、無為の時を過ごしていた。預かる軍配もなく、仕えるべき主君にも巡り会えず、焦燥だけが募る日々……そんな折、武田信虎による実子・晴信(のちの信玄)暗殺計画に加担させられることになる。命を賭けた一世一代のお芝居、学友たちとの再会を経て、「あの男」がいよいよ歴史の表舞台へ――。(あらすじ引用しました)
 帯にある台詞がまず目を引きました。「おれの人生は、まだ終わらない。必ず、この名を世に轟かす」というのですが、これはまさにそっくりそのまま、主人公である男の人を表しています。ええ仕事しはる……。
 一人ひとりのキャラがよく立っていて、いいところもその反対のところも余すところなく描かれていて、共感ができます。一息ついたと思ったらあれまさか――という連続で、最後までページをめくる手が止まりませんでした。当時の時代背景やそれぞれの国の関係もちゃんと描かれていて、すごいと思うのですが、わたしの頭では、地名が出て来ても、あれここどこだっけ? となって、ちょっと把握が難しかったです。でも章ごとに地図が描かれているので、それを見ながらだと分かるようになっています。かゆいところにまで手が届くのう。
 何よりも魅力だと思うのは、男同士の主従や友情が確かな絆となっていく、その過程や結果でしょうか。主人公である男の人は、名を轟かすためだけではなく、かつての友人たちとのある約束のためにも軍配者を目指しますし、漸く巡り会えた主君に確かな器を見て忠実に仕えるようになります。これらがいちいちたまらんのです。くう、かっこよいだろ……。
 もうひとつ、続編「謙信の軍配者(仮)」が夏に出るそうなので、楽しみです。 時代ものやイイ男を見たければお勧めです。



・「シンデレラ・ティース」坂木司
 大学二年の夏、サキは母親の計略にひっかかり、大嫌いな歯医者で受け付けのアルバイトをすることになってしまう。個性豊かで、患者に対し優しく接するクリニックのスタッフに次第に溶け込んでいくサキだったが、クリニックに持ち込まれるのは、虫歯だけではなく、患者さんの心に隠された大事な秘密もあって……(あらすじ引用しました)
 これも書店で見て買ったのですが、以前に紹介した「ホテルジューシー」と姉妹編になっています。繋がりがあるのですが、単独でも楽しめるようになっています。
 本作の作者はミステリ作家ですが、「ホテル~」もそうだったように、この話も物騒な事件は起きません。ただ、歯医者ではならの「?」を掬いとって、それを登場人物が解決していく、という形になっています。穏やかミステリと言うのでしょうか。こういう言葉は聞きませんが。
 主人公である大学生・サキは小さい頃には医者にかかったのですが、その時の経験がもとで歯医者嫌いになりました。この本を読んで初めて知ったのですが、歯科治療恐怖症なる病気もあるそうな。治療後のケアがちゃんとできていないと、そういうことにもなるそうです。わたしも昔、歯医者で血が出るくらい痛い治療を受けたことがあるのですが、歯医者が嫌いとかにはなっていません。その時はあまりの痛みに大泣きしたというのに。ケアがちゃんとできていたんでしょうね。ちなみに大人の人でもそういう病気の人がいるそうです。
 歯軋り、口臭、医療機器、顎、歯科治療恐怖症などといったテーマをそれぞれ取り上げた話が連作になっていて、サキの少しずつの成長と共に進められます。キャラの個性も滲んでいて、恋愛要素もあって楽しめました。中には意地を張ってかえって逆効果になるような話もあって、治療を受ける時はきちんと正直に答えるようにしよう、と思いました。こういう患者がいたら困るよなあと。
 ほんわかあたたかなミステリーを読みたい方にはお勧め。



・「ビブリア古書堂の事件手帖~栞子さんと奇妙な客人たち~」三上延
 鎌倉の片隅でひっそりと営業をしている古本屋「ビブリア古書堂」。そこの店主は古本屋のイメージに合わない若く綺麗な女性だ。残念なのは、初対面の人間とは口もきけない人見知り。接客業を営む者として心配になる女性だった。だが、古書の知識は並大抵ではない。人に対してと真逆に、本には人一倍の情熱を燃やす彼女のもとには、いわくつきの古書が持ち込まれることも。彼女は古書にまつわる謎と秘密を、まるで見てきたかのように解き明かしていく。これは〝古書と秘密〟の物語。(あらすじ引用しました)
 これも新刊コーナーに飾られていたのを見て手に取ったものです。帯にある「古い本には人の秘密が詰まっています」というアオリにひかれました。大学では文学作品を勉強していたので、それも惹かれた理由でもあります。
 話は大学を卒業したばかりの男の人視点で進められます。この男の人は小さい頃は本が好きでよく読んでいたのですが、ある小さな出来事がきっかけで本を読みたくても読めなくなります。就職中のある日、祖母の遺産の中にあった古本を売れないかどうかを相談するため、学生時代によく覗き込んでいた古本屋へ向かうが、店主は怪我で病院に入院しているという。彼女に会いに病院に行った主人公は、彼女による謎解きで祖母の過去を知ります。その出来事を経て、主人公は店主である彼女の求めに応じて、古本屋で働くことになり、古本にまつわる謎に触れるようになります。
 店主の知識は本当に並大抵ではなく、作者も調べたんだろうなと窺わせます。これも「シンデレラ~」と同様に、古本ならではの謎がとりあげられており、登場人物が互いに協力して解いていきます。
 中でも印象に残ったのは、ホステスの女性が出てくる話と、最後の話です。このホステスの女性が強烈な性格をしております。ハイテンションなのはそうなんですが、それだけでなく、なんというのでしょう、とにかく変わっていて、でも夫をすごく大事に思っている人です。なにしろ夫とのことを「ラブラブラブ」と評するくらいですからね。きっと人生は充実しているに違いない。
 最後の話は、古本コレクターが出てくる話で、このコレクターが、店主の持つある本をどうやってでも手に入れようとします。店主は主人公に協力を仰いで解決を試みるのですが、事が終わった後になされる告白には読んでいるわたしもはっとしました。本を読む人とそうでない人との決定的な違いが浮き彫りにされていて、ちょっとへこみました。そうだよね、そういう違いも確かにあるんだと。でも最後にはどうにか歩み寄れそうな様子で終わったので、よかったと思います。
 あとがきにも作者の本に対する考えなんかが書かれているので、最後まで成る程と思いました。



・「コーラル城の平穏な日々」茅田砂胡
 ご存知の方もいらっしゃると思いますが、「デルフィニア戦記」の番外編です。久し振りに懐かしい人達に会いました。ただ、番外編とはいっても、本編の後の話ではなく、本編の合間にあった出来事が書かれているので、本編の後の話を期待された方はちょっとがっかりかもしれません。
 女性の買い物好きに振り回されるあの人や戦争の合間に真面目にカード遊びに興じる王夫婦や、侍女として働く殺し屋の健闘ぶりの話が収められています。説明はこれで間違っていないはず。
 最初の話にはちょっと笑いました。王の正妃と彼女の友人が、友人の恋を実らせようととんでもない買い物をしに行って、戦争では女神と呼ばれるほどの働きをするあの人がその買い物の護衛にこっそりついていくのですが、女性の買い物の恐ろしさ(?)を知ってぐったりする様子が微笑ましかったです。
 最後の話は侍女が活躍する話なのですが、彼女(彼?)がたまたま通りかかって助けた貴族の女性が意に染まぬ相手に強引に結婚を迫られていることを知り、彼女を助けようとします。他にも色々ありますが、印象に強く残ったのがこれなので。この相手の男の人というのがまた、侍女の言葉を借りれば「頭のよろしくない男性」で、こういう人とは絶対にお近付きになりたくないと思いました。どうしたらあんな都合のいい思い込みができるんでしょうね……。でも案の定というかやっぱりと言うか、手痛いしっぺ返しを食らう羽目になったので、よかったです。王夫婦や王の従兄であるあの人が黙っていられるはずもありませんしね。
 「デルフィニア戦記」や「レディ・ガンナー」シリーズなど、この人の話は読み易い文章とテンポのよい台詞が満載なのでお勧めです。

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